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胃カメラ・バリウム検査と異常が見つかった場合の精密検査

2023.04.17

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胃の病気を調べる検査として広く行われている「胃内視鏡検査(胃カメラ)」と「胃部X線検査(バリウム検査)」。会社の健康診断などで一度は受けたことがあるかもしれません。今回は、それぞれの検査の特徴やメリット・デメリット、さらに要精密検査と言われた場合の流れについて詳しく解説します。

 

胃カメラとバリウム検査は、どう違う?

一般的に「胃カメラ」と呼ばれている胃内視鏡検査は、電子内視鏡という細長いスコープを口や鼻から挿入し、食道・胃・十二指腸を観察する検査です。

一方、「バリウム検査」はX線を使って胃や十二指腸の様子を画像化する検査(胃部X線検査)です。はっきりした画像を撮影するために、造影剤であるバリウムと胃を膨らませる発泡剤を飲んで検査を行います。検査台の上でからだの向きを上下左右に回転させ、胃の壁の表面にバリウムを付着させることで、胃の形や胃の内部の凹凸を写し出すことができます。

胃内視鏡検査や胃部X線検査では、がんやポリープ、潰瘍、炎症などを見つけることができます。どちらの検査も胃がんの死亡率を減少させることが科学的に認められており、国の指針にもとづいて実施される胃がん検診で推奨されている検査です。

■胃内視鏡検査(胃カメラ)と胃部X線検査の比較

胃内視鏡検査(胃カメラ) 胃部X線検査(バリウム検査)
色調 カラー モノクロ
胃に入る物 個体(スコープ) 液体(造影剤)
観察できること 凹凸、色調の変化、出血の有無 凹凸
再現性 優れている やや乏しい
生検*・治療 できる できない

※生検とは疑わしい病変の一部を採って、顕微鏡で詳しく調べる検査です。生検組織診断とも呼ばれます。

 

胃がんを調べるなら、どちらの検査がいい?

胃内視鏡検査(胃カメラ)では、医師が直接胃の中を見て詳しく観察できるため、診断の正確さは胃部X線検査(バリウム検査)よりも優れています。早期の胃がんの場合、わずかな隆起やへこみ、粘膜の色の違いでしか病変が認識できないことも多いため、こうしたがんの発見には内視鏡検査のほうが有用といえるでしょう。また、内視鏡検査では食道の様子も胃と同じように観察できますが、胃部X線検査ではバリウムがさっと流れてしまうため、食道の小さな病変を見つけることは困難です。

胃部X線検査の場合、健康に影響を及ぼすほどではないものの、放射線被ばくが生じます。また、バリウムを飲む際に苦しさを感じたり、バリウムがうまく排出されずに便秘になったりすることがあります。胃内視鏡検査も、スコープを挿入する際に苦痛を伴う場合がありますが、苦しさを軽減できる細い管のスコープも普及してきており、当院でも採用しています。検査費用については、胃部X線検査と比較して胃部内視鏡検査のほうが一般的に高くなります。

■胃内視鏡検査(胃カメラ)と胃部X線検査の比較

胃内視鏡検査(胃カメラ) 胃部X線検査(バリウム検査)
メリット
  • 早期のがんを発見しやすい
  • 胃だけでなく食道も詳しく観察できる
  • 胃全体の変形をとらえやすい
  • 胃内視鏡検査より費用が安い
デメリット
  • 喉の痛みや違和感などの検査に伴う苦痛が生じることがある(※鎮静剤の使用で軽減可能)
  • 胃部X線検査より費用が高い
  • 前投薬、鎮静剤、検査において、ごく稀に偶発症*がおこる
  • 放射線被ばくがある
  • バリウムを飲む際に苦しさを感じることがある
  • バリウムによる便秘が生じる可能性がある
  • 検査台からの転倒、転落に注意が必要

*胃部視鏡検査の偶発症としては、消化管の出血や穿孔(せんこう:穴が空くこと)、薬剤へのアレルギー反応などが生じることがあります。

国の指針にもとづいて実施される胃がん検診では、胃内視鏡検査か胃部X線検査のいずれかを受けることとされています。検査を選択できる場合には、それぞれのメリット・デメリットを踏まえて検討しましょう。 胃がん検診は対象年齢の人なら一部の自己負担金ですみ、名古屋市ではワンコイン500円の自己負担金で受けられます。当クリニックでも受診いただくことが可能です。

■名古屋市がん検診(ワンコイン検診)■

 

胃カメラ・バリウム検査で「要精密検査」となった場合には

胃部X線検査(バリウム検査)の結果が「要精密検査」となった場合は、胃の様子をより詳細に調べるために、胃内視鏡検査(胃カメラ)を行います。

胃内視鏡検査の結果、がんの疑いが認められた場合は、再度、胃内視鏡検査を行って疑わしい部位の組織を採取します。なお当クリニックでは、初回の内視鏡検査で疑わしい病変が見つかった場合、検査中に組織採取まで行うことができ、受診者様の負担を減らせます。採取した組織は顕微鏡を使って詳しく調べ、がんかどうかを診断します。

日本人の胃がんの主な要因として、ヘリコバクターピロリ菌への感染がありますが、胃内視鏡検査でピロリ菌への感染が疑われた場合は、菌が本当にいるかどうかを確定診断する「ピロリ菌検査」を実施します。ピロリ菌の感染が認められた場合は、保険診療にて除菌治療を行うことができます。胃がんを予防するためにはピロリ菌の有無を確認し、除菌治療を行うことが大切です。

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当クリニックは消化器内科を含む各診療科を有していますので、検査で逆流性食道炎や胃潰瘍などが認められた場合は、必要な治療を行うことが可能です。万が一胃がんが見つかった場合には、提携する大学病院等をご紹介しております。

たとえ症状がなかったとしても、健康診断やがん検診で胃内視鏡検査・胃部X線検査を受ければ、病気を早期発見できる可能性が高まります。特に、胃がんは日本人に多いがんなので、40歳以上の人は定期的に検査を受けるようにしましょう。

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参考文献
・一般社団法人日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡Q&A「消化管造影検査(バリウム)と内視鏡検査の違いは何ですか?」
https://www.jges.net/citizen/faq/general_02
・有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン2014年版

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alt=記事監修者:
ミッドタウンクリニック名駅 院長 白木 茂博

プロフィール:
1979年名古屋市立大学医学部卒業。
同第一内科に入局、関連病院で勤務ののち、中日病院健診センター長、院長、顧問を経て、現職。

日本内科学会専門医/日本消化管学会専門医/日本消化器病学会専門医/日本肝臓学会専門医/人間ドック健診専門医/日本消化器内視鏡学会名誉指導医/日本超音波医学会指導医/博士(医学)

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