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心電図をAIで解析。将来の心疾患リスクが分かる「心臓年齢検査」とは

公開日:2026.07.01

AIで心電図を解析することで、心臓年齢が分かる

近年、膨大な心電図データを学習させたAIが算出した「心臓年齢」は、心血管疾患の新たな“デジタル・バイオマーカー”として世界的に注目されています。なぜなら、心臓の臓器年齢である「心臓年齢」が実年齢からどれくらい離れているかに着目することで、心不全や狭心症などの心疾患のリスクが高いかどうかを知ることができるからです。今回は、今注目の「心臓年齢検査」について詳しく解説します。

AIで心電図を解析することで、心臓年齢が分かる

AIで心電図を解析することで、心臓年齢が分かる

心電図は健康診断や人間ドックの検査項目に入っている検査なので、これまで何度も繰り返し受けてきたという方も多いのではないでしょうか。

心電図の診断では、検査で得られた脈波データを、医師が細かく分類された異常波形に当てはまるものがないかを目視で1枚1枚を確認して診断(読影)をしています。私たちの手元に戻ってくる心電図の検査結果には、異常の有り・無しだけが書かれていることがほとんどで、血液検査のように数値が記されるわけではありません。そのため、病的な異常が見つからない限り、心電図検査を受けても自分の心臓が今どのような状態なのかを具体的に知ることはできませんでした。

心電図の波形には心臓の機能を知るための多くの情報が含まれています。この情報を有効活用するための切り札となるのが、医療分野でも活用が進むAI解析です。膨大な心電図データとそれに紐づく電子カルテデータを元に、AIにパターンを学習させることで、隠れた心疾患を心電図のみから高精度で検知できるAIモデルが開発されました。このAIモデルを使うことで、心臓が今どれくらい元気なのかを「心臓年齢」という形で可視化することが可能になってきました。

そもそも心電図って、何を見ている検査?

心臓は、全身に血液を送り出すポンプの役割を担っている臓器です。心臓の中は右心房、右心室、左心房、左心室の4つの部屋に分かれており、心房は血液を受け取り、心室は血液を送り出す役割をしています。心房と心室の間には弁膜があるため、血液の流れは一方通行になっています。

心臓がポンプの役割を果たすには、心臓の筋肉が一定のリズムで収縮を繰り返す必要があります。この動きを命じているのが、右心房にある「洞房結節(洞結節)」と呼ばれる部分です。洞房結節は自然のペースメーカーともいわれ、1分間に60~80回のごく弱い電気信号を出しています。この電気信号は刺激伝導系と呼ばれる特殊な伝導線維を通って心房、心室の順に伝わり、心臓の筋肉が収縮します。

そもそも心電図って、何を見ている検査?

心電図は、この心房や心室に伝えられる電気信号の刺激を検知して、波形として描き出す検査です。心電図の波形から、心臓がどのように拍動しているのかを知ることができ、波形の形、大きさ、リズムを読み取ることで、脈拍が乱れている原因がどこにあるのかを見出すことができます。

例えば、心臓の筋肉が厚くなり、心臓の機能が損なわれる「肥大型心筋症」があると、心電図ではST低下などの異常な所見として現れます。逆に、心臓の筋肉が薄くなり、収縮力が低下する「拡張型心筋症」では、異常Q波、陰性T波などの様々な異常所見が確認されます(※1)。

心電図が最も得意とするのは不整脈の診断で、心臓の筋肉に異常が起こる病気(狭心症、心筋梗塞、心筋症など)の発見にも役立ちます。一方で、弁膜症や心房中隔欠損症などの心臓の形に異常が認められる病気では心電図に異常が現れないことも多く、こうした病気に対しては心臓超音波(心エコー)検査が有用です。

病気のリスク予測に役立つ心臓年齢

心臓年齢とは

心臓年齢は、実年齢とは異なる“臓器の年齢”を表したものです。心臓という臓器の年齢が、実年齢からどれくらい離れているかに着目することで、同世代と比べて心血管疾患のリスクが高いかどうかを知ることができます。心臓年齢は、心血管疾患のリスクを的確に反映する新たなデジタル・バイオマーカーとして世界的に注目されており、研究も盛んに行われています。

AIが心電図の波形パターンを読み取り、個人の心臓の状態を「年齢」として統計学的に推定することで心臓年齢を算出します。つまり、これまでは分かりにくかった心電図の結果が、心臓年齢という直感的な指標で表せるようになったのです。

心電図に加えて受けたい「心臓年齢検査」

健康診断や人間ドックで受けた心電図の結果を使い、医師による診断(読影)とは別にAIが解析を行い、心臓年齢を算出する検査が「心臓年齢検査」です。この検査は、心電図データを活用するため、追加の検査は必要ありません。

【特長(1)】心臓年齢から心血管疾患リスクが分かる
心電図データからAIが心臓年齢を算出します。心臓年齢が実年齢とどれくらい離れているかで、心不全、虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)、脳卒中(脳梗塞・脳出血)等の心血管疾患リスクの程度が分かります。

●実年齢を10歳以上上回っている場合:リスクが約2倍に上がる
●実年齢より10歳以上下回っている場合:リスクが約2/3になる

心臓年齢から心血管疾患リスクが分かる

検査結果レポートには、測定された心臓年齢、実年齢との差、心血管疾患リスクの程度などが記載されます。

【特長(2)】3つの心機能で心臓のコンディションが分かる
心房機能、房室結節機能、ポンプ機能の3つの機能について、同年代との比較を元に4段階(A+、A、B、C)で評価します。それぞれ、心臓が正常に働く上で重要な機能であり、心機能を評価することで心臓のコンディションを知ることができます。

3つの心機能で心臓のコンディションが分かる

【特長(3)】心臓のコンディションに影響する生活習慣リスクが分かる
心電図の波形から「生活習慣の影響をどれくらい受けやすいか」という傾向を読み取り、血糖、たばこ、脂質、体重、血圧、それぞれのリスクを算出します。このような心臓のコンディションの背景にある“生活習慣リスク”は、膨大なデータを学習したAIだからこそ推定できる情報です。どの要素が与えるリスクが大きいかをチャートで示すほか、具体的な対策も記載されます。

心臓のコンディションに影響する生活習慣リスクが分かる

心臓年齢検査は、どんな人におすすめ?

心筋梗塞や心不全などの心疾患は、日本人の死因の第2位であり(※2)、自分の心臓の健康状態を知り、将来のリスクに備えることは非常に重要です。通常の心電図検査では、波形に基づいて現時点での異常の有無を判断することが中心で、潜在的な心疾患のリスクまで推定することは困難でした。その点、心臓年齢検査であれば心電図に内包されている膨大な情報を解析することで、心疾患のリスクを判定することができ、将来の心疾患の発症予防に役立てることができます。

心臓年齢検査はどなたでも受けることができますが、特に次のような方々におすすめです。

心臓年齢検査はこんな方におすすめ

  • 心臓のコンディションが気になる方
  • 心電図の結果がよく分からない、もっと知りたい方
  • 食生活や生活習慣が気になっている方
  • 運動不足を感じている方
  • リモートワークが多い方
  • ご家族に心臓病の既往歴がある方
  • 特定保健指導の対象となったことがある方

当クリニックでは、各種健康診断・人間ドックのオプション検査として、この「心臓年齢検査」をご提供しております。心電図のみで他の追加検査はないため、当日のお申込みも可能です。心電図検査が含まれていない検診コースの場合でも、心臓年齢検査のオプションを追加いただいた方には心電図の測定を行いますので、どなたでもお申込みいただけます。

もし検査結果で心臓年齢が進んでしまっていたとしても、生活習慣の改善に取り組むことで、心臓年齢を若返らせることが期待できます。なお、「心臓年齢検査」の結果レポートでは、注意したい症状やウォーキングなどの推奨される対策が記載されますので、改善の参考にしていただけます。
今のご自身の心臓の状態を知り、バランスのとれた食事や運動習慣、十分な睡眠といった規則正しい生活やストレス管理を心がけ、高血圧や高血糖、肥満などの生活習慣病に気をつけることによって、心臓のコンディションを保つことができます。
気になる方は、ぜひお気軽に当クリニックまでお問い合わせください。

 

参考文献

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当クリニックでは皆さまのご要望に柔軟に対応できるよう、多様なコースをご用意しています。
どのコースを受けたら良いかわからない場合は、お気軽にご相談ください。

森山 紀之

医療法人社団進興会 理事長

1973年千葉大学医学部卒。
元国立がん研究センター がん予防・検診研究センター センター長、東京ミッドタウンクリニック常務理事 兼 健診センター長を経て、現職。

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