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アレルギーの原因を見つける、アレルギー検査とは?

2023.01.27

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花粉症や喘息、アトピー性皮膚炎など、日本人の2人に1人以上が何らかのアレルギー疾患にかかっていると言われるほど、アレルギーは身近な病気です。近年は食物アレルギーが増加傾向にあり、原因がよくわからない不調が、検査してみたら食物アレルギーが原因だったということもあります。
今回は、日本におけるアレルギー疾患の現状やアレルギー検査について詳しく解説します。

 

そもそも、アレルギーって何?

喘息や花粉症、食物アレルギーなど、さまざまな種類が存在するアレルギー疾患。アレルギーは、私たちのからだに備わっている免疫という仕組みが過剰反応することで、くしゃみや皮膚のかゆみなどのさまざまな症状が起こることを指します。

子どもから大人まで全年齢を対象とした調査結果[※1]によると、日本人に最も多いアレルギー疾患は花粉症(39.0%)で、次いでアレルギー性鼻炎(27.5%)、アレルギー性結膜炎(19.5%)、アトピー性皮膚炎(15.5%)、食物アレルギー(15.1%)の順でした。

免疫反応はウイルスや細菌などからからだを守るために体内で起こる反応ですが、花粉や食べ物など、基本的には体に害のないものに対しても免疫が過剰に反応することがあります。これをアレルギー反応といい、アレルギー反応を引き起こす物質をアレルゲンと呼びます。

ハウスダストやダニ、花粉、食べ物、薬剤、動物の毛、フケなど、アレルゲンは身の回りに数多く存在します。私たちのからだは皮膚や粘膜で覆われているので、これらの異物は簡単には体内に入ってきません。しかし、何らかの理由でバリア機能が破綻すると、そこからアレルゲンが侵入してきます。

アレルゲンが体内に侵入すると、それらを異物と認識して排除しようと、免疫の働きによってIgE抗体と呼ばれる物質が作られます。IgE抗体は血流に乗って皮膚や粘膜にあるマスト細胞の表面にくっつき、アレルゲンに反応しやすい状態になります(この状態を「感作」といいます)。感作されるかされないかは、体質等によって決まります。

感作された状態で再びアレルゲンが侵入しマスト細胞上のIgE抗体に結合すると、マスト細胞からヒスタミンなどの物質が放出され、さまざまなアレルギー症状が起こります。

■アレルギー症状が起こるメカニズム

アレルゲンが体内に入る アレルゲンに対するIgE抗体が作られる IgE抗体がマスト細胞に結合し、スタンバイ状態に(感作) 再度アレルゲンが侵入し、マスト細胞上のIgE抗体に結合 ヒスタミンなどが放出され、アレルギー症状が起こる

 

感作が成立してからアレルギー疾患を発症するまでの期間は、人によってさまざまです。例えば花粉症の場合、感作されてから発症するまでに数十年かかることもあり、いつ発症するかを予測するのは難しいといわれています。

 

食物アレルギーは増えている!?

アレルギー疾患の中でも食物アレルギーで医療機関を受診する人の割合は増加傾向にあり、大人になってから発症することも少なくありません。食物アレルギーの症状で最も多いのが皮膚のかゆみや赤みなどの皮膚症状で、鼻水やくしゃみ、咳などの呼吸器症状や吐き気・嘔吐、下痢などの消化器症状も多く認められます。

■食物アレルギーの症状

  • ・皮膚症状:かゆみ、じんましん、皮膚が赤くなる(発赤)、むくみ など
  • ・呼吸器症状:くしゃみ、鼻水・鼻づまり、咳、息がしにくい、ゼーゼー・ヒューヒュー(喘鳴) など
  • ・消化器症状:吐き気・嘔吐、下痢、血便 など
  • ・粘膜症状:目のかゆみや充血、口の中の違和感、唇の腫れ など
  • ・全身症状:アナフィラキシー(呼吸器や神経など複数の臓器に強い過敏反応が現れる)、アナフィラキシーショック(血圧が下がり、意識障害などのショック症状が現れる)

食物アレルギーの原因となる食べ物は鶏卵が最も多く、次いで牛乳、木の実類(ナッツ)の順となっています。特に、クルミやカシューナッツなどの木の実類の食物アレルギーで医療機関を受診する人の数が増えており、ショック症状になるケースも年間100人以上確認されています[※2]。

年齢によって食物アレルギーを引き起こす食べ物は変化することが分かっており、18歳以上の大人では小麦や甲殻類、果実類で食物アレルギーを発症する人が増えてきます。

 

アレルギー検査の種類と方法

アレルギー疾患では、症状を引き起こすアレルゲンを特定し、それを避けることが基本的な治療の1つです。アレルゲンを特定するためのアレルギー検査には、血液を採取してアレルゲンに特異的なIgE抗体を測定する検査(特異的IgE抗体検査)や、皮膚にアレルゲンを接触させて赤みなどの症状が現れるか調べる皮膚テストなどがあります。

当クリニックでは、特にアレルギーの原因となりやすい39種類のアレルゲンを、少量の採血で測定できる特異的IgE抗体検査「View 39」を実施しています。ハウスダストや花粉などの吸入系のアレルゲン19種類に加え、食物系のアレルゲン20種類を同時に測定することができるため、幅広いスクリーニングが可能です。View 39は各種健康診断・人間ドックのオプションとして受けられます。

 

■View 39で調べられるアレルゲン

吸入系 その他のアレルゲン 食物系アレルゲン
室内塵 ヤケヒョウヒダニ、ハウスダスト1 卵白、オボムコイド
動物 ネコ皮屑、イヌ皮屑 牛乳 ミルク
昆虫 ガ、ゴキブリ 小麦 小麦
樹木 スギ、ヒノキ、ハンノキ(属)、シラカンバ(属) 豆・穀・種実類 ピーナッツ、大豆、ソバ、ゴマ、米
草本類 カモガヤ、ブタクサ、ヨモギ、オオアワガエリ 甲殻類 エビ、カニ
空中真菌 アルテルナリア(ススカビ)、アスペルギルス(コウジカビ) 果物 キウイ、リンゴ、バナナ
真菌その他 カンジダ、マラセチア(属)、ラテックス 魚・肉類 マグロ、サケ、サバ、牛肉、鶏肉、豚肉

 

くしゃみや鼻水、皮膚のかゆみ、下痢などのアレルギーを疑わせる症状を繰り返す場合は、アレルギー検査を受けて要因を特定し、適切に対処することが必要です。

また、アレルギー疾患では激しい症状は出なくても、「何となく具合が悪い」ということもあります。自分が気づいていない、知らないだけで、その不調はアレルギー反応による症状かもしれません。不定愁訴にお悩みの方は、一度アレルギー検査を受けることをおすすめします。自分の体質を把握しておくことは、健康管理の第一歩です。

 

ただいまミッドタウンクリニック名駅では、春の人間ドックご優待コースをご用意しています。ご興味ある方はぜひ当クリニックにお問い合わせください。 詳しくは以下をご覧ください。

 

参考文献
※1 令和3年度「アレルギー疾患の多様性、生活実態を把握するための疫学研究」研究班:2021年度 アレルギー疾患に関するアンケート調査結果.
※2 消費者庁:食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書.

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alt=記事監修者:
医療法人社団 進興会 理事長 森山紀之

プロフィール:
1973年千葉大学医学部卒。
元国立がん研究センター がん予防・検診研究センター センター長、
東京ミッドタウンクリニック常務理事 兼 健診センター長を経て、現職。

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