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気軽にできる大腸検査で大腸の病気の早期発見につなげよう!

公開日:2024.01.29

便秘や下痢、腹痛など、日常的に経験することの多いおなかの症状。日本人がかかるがんでもっとも多い大腸がんが気になる方も多いと思います。大腸の病気を調べる検査として、健康診断では便潜血検査、精密検査として大腸内視鏡検査などが行われますが、最近ではより手軽な検査や将来の病気のリスクを調べられる検査なども登場しています。今回は、負担が少なく気軽に行える大腸検査について詳しく解説します。

大腸の病気には、どんな種類がある?

大腸で発生する病気にはさまざまな種類がありますが、大きく分けると「良性・悪性の腫瘍」「炎症性の病気」「機能性の病気」の3つのタイプがあります。

■良性・悪性の腫瘍

大腸にできる腫瘍は、ポリープとがんに分けられます。ポリープには良性のものと、がん化する可能性のあるものがあります。大腸がんは全てのがんの中でかかる人の数が最も多いがんです[※1]。早期に発見し、適切な治療を受ければ治る可能性が高いため、40歳を過ぎたら毎年大腸がん検診を受けることが重要です。

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■炎症性の病気

炎症性の病気は、腸管に炎症が起こる病気です。原因がはっきりしているものとして、細菌やウイルスが原因で起こる感染性腸炎や抗菌薬などの薬によって引き起こされる薬剤性腸炎などがあります。一方、原因がはっきりしないものに虫垂炎や憩室炎、炎症性腸疾患などがあります。虫垂炎や憩室炎は腸管の特定の部位に炎症が起こるのに対し、炎症性腸疾患は大腸の粘膜のさまざまな場所に炎症が起こります。

炎症性腸疾患の代表的な病気に、潰瘍性大腸炎とクローン病があります。どちらも発症年齢のピークは20代ですが、30代以降に発症することもあり、高齢の患者さんも少なくありません[※2]。根治できる治療法が見つかっていない指定難病となっており、潰瘍性大腸炎とクローン病の患者数を合わせると指定難病の中では最も患者数が多く[※3]、決して珍しい病気ではありません。

主な症状に下痢、血便、腹痛、体重減少、発熱などがあります。潰瘍性大腸炎とクローン病はどちらも消化管の粘膜が炎症を起こす病気ですが、潰瘍性大腸炎は大腸だけに炎症が起こり、クローン病は口から肛門まで、消化管のどこでも炎症を起こす可能性がある点が異なります。

■炎症性の病気

機能性の病気とは、画像検査や顕微鏡を使った病理検査などで明らかな異常が認められないにも関わらず、症状が現れる病気のことをいいます。大腸の病気で代表的なのが過敏性腸症候群で、多くの患者さんで、消化管が刺激に対して非常に敏感になります。日本人の約10%の人がこの病気だといわれており[※4]、繰り返し起こる便秘や下痢、腹痛といったおなかの症状に悩まされている人は少なくありません。

手軽に行える大腸の検査

大腸の病気の有無を調べる検査には、便検査や血液検査、CT検査、腹部超音波(エコー)検査、大腸内視鏡(大腸カメラ)検査などがあります。便に血が混じっているかどうか調べる便潜血検査は大腸がん検診の検査方法として推奨されており、大腸がんのほか、潰瘍やポリープの有無を調べるのに有効です。

便潜血検査の結果が「異常あり・要精密検査」と判定された場合、精密検査として大腸内視鏡(大腸カメラ)検査や大腸CT検査を実施して、大腸の様子を詳しく観察し、がんやポリープなどの病変の有無を確認することが必要です。

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ただ、大腸内視鏡検査は、自費で受ける場合は費用がやや高めとなることや、「恥ずかしい」「大変そう」「苦しそう」という抵抗感から検査を敬遠する人も少なくありません。「要精密検査」の結果が出たにも関わらず、そのまま放置してしまっている方もいるのではないでしょうか。そうした方は、大腸内視鏡検査よりも手軽で、便や血液を採取するだけで大腸の病気のリスクを調べられるコリバクチン検査や便中カルプロテクチン検査、高感度CRP検査などを検討してみるのがおすすめです。

なかでもコリバクチン検査は、細胞のがん化に関与すると考えられている毒性物質を調べることで、将来の大腸がんのリスクを知ることができる検査です。当クリニックでは、このコリバクチン検査、便中カルプロテクチン検査、高感度CRP検査の3つを組み合わせた「大腸検査セット」を2024年4月より提供予定です。

  便潜血検査 コリバクチン検査 便中カルプロテクチン検査 高感度CRP検査
検査方法 便検査 便検査 便検査 血液検査
検査の特徴 少量の便を採取し、便中に血が混じっていないかを調べる検査。大腸にがんやポリープがあると、便に微量の血液が交じる場合がある。大腸がん検診の一次検査として採用されている。 コリバクチンは、腸内細菌が分泌する毒性物質で、細胞のがん化に関与すると考えられている。コリバクチン産生菌がいるかどうかを調べることで、大腸がんになるリスクを知ることができる。 カルプロテクチンは、白血球の一種である好中球に多く含まれるタンパク質。腸に炎症が起こると、そこに好中球が集まるため、便中のカルプロテクチンの量を測定することで腸に炎症があるかどうかを調べられる。 CRPは体内で炎症が起こると血液中の濃度が高まるタンパク質の一種。高感度CRP検査では、動脈硬化性疾患や大腸がんのリスクとなる慢性的な炎症の有無を把握することができる。
検査で分かること 大腸がん、ポリープ、炎症性疾患など 大腸がんの発症リスク 腸の炎症の有無 ・大腸がんや動脈硬化性疾患の発症リスク
・体内の炎症の有無

検査の目的 大腸疾患のスクリーニング 将来大腸がんを発症するリスクを調べる 潰瘍性大腸炎やクローン病の病態の把握 大腸がんや動脈硬化性疾患を発症するリスクや体内の炎症の有無を調べる

 

早期発見や予防のために、一度は大腸検査を!

下痢や腹痛は、程度の差はあれど多くの方が日常的に経験する症状ですので、医療機関を受診せずに我慢してしまうこともあるかもしれません。しかしながら、症状が長引く場合にはその原因を調べることが大切です。受診を先延ばしにすると、重症化する病気の発見が遅れてしまうおそれがあります。

特に潰瘍性大腸炎やクローン病は、以前は患者数の少ない病気でしたが、近年は増加傾向にあり、推定患者数は潰瘍性大腸炎が22万人以上、クローン病が7万人以上といわれています[※2]。様々な治療薬の登場で症状をコントロールできるケースが増えてきており、早期に診断・治療を受けることがとても重要です。

自覚症状がない場合や大腸がん検診で異常が見つからなかった場合でも、検査を受けて大腸の病気のリスクを把握しておけば、予防に役立てることができます。将来大腸がんを発症するリスクが高いと判定されたら、食生活や運動習慣を見直すことが大切です。腸内の環境は日頃の生活習慣によって変動するため、半年から年1回の定期的な検査で、ご自身の腸の状態を把握することが健康維持に役立ちます。

当クリニックでは、潰瘍性大腸炎・クローン病の疑いや、大腸がんの発症リスクを調べるための「大腸検査セット(コリバクチン検査、便中カルプロテクチン検査、高感度CRP検査)」を各種人間ドックのオプションとしてご用意しています。(2024年4月~)また、大腸検査セットが組み込まれたオリジナル人間ドックコースも実施中です。気になる方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

参考文献

人間ドックコース・料金

当クリニックでは皆さまのご要望に柔軟に対応できるよう、多様なコースをご用意しています。
どのコースを受けたら良いかわからない場合は、お気軽にご相談ください。

白木 茂博

ミッドタウンクリニック名駅 院長

1979年名古屋市立大学医学部卒業。
同第一内科に入局、関連病院で勤務ののち、中日病院健診センター長、院長、顧問を経て、現職。
日本内科学会専門医/日本消化管学会専門医/日本消化器病学会専門医/日本肝臓学会専門医/人間ドック健診専門医/日本消化器内視鏡学会名誉指導医/日本超音波医学会指導医/博士(医学)

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