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「やせメタボ」とは?太ってないのに生活習慣病のリスクが高いのはなぜ?

2023.12.22

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メタボリックシンドローム、通称「メタボ」は、太っている人がなると思われがちですが、必ずしもそうではありません。近年の研究から、普通体型の方、やせ型の方でもメタボリックシンドロームと同様の健康リスクを持つ人がいることが分かってきました。今回は、太っていないのにメタボリックシンドロームのような危険性がある「やせメタボ」の特徴や予防策について詳しく解説します。

 

太っていないのにメタボと同じって、どういうこと?

メタボリックシンドロームとは、内臓に脂肪が蓄積されていて、高血糖や高血圧、脂質異常などの動脈硬化の危険因子を持ち合わせた状態を指します。こうした代謝異常は主におなかに溜まった過剰な脂肪が原因で起こると考えられているため、一般的に、ウエストの太さ(内臓脂肪の蓄積)が基準値を超えているかどうかがメタボ診断の必須項目となっています。そのため、肥満イコールメタボリックシンドロームと思われることが多いのですが、肥満ではない方でも、メタボリックシンドロームと同じような健康リスクを持つ方がいることが分かってきました。

食事からとった糖の臓器への取り込みや、脂肪の分解などを調整しているのがインスリンというホルモンです。脂肪組織が容量オーバーになってあふれ出し、筋肉や肝臓に脂肪が溜まると、インスリンの効きが悪くなり(インスリン抵抗性と言います)、これが糖尿病やメタボリックシンドロームの原因になると考えられています。これまで、インスリン抵抗性は、肥満に伴って生じると考えられてきました。しかし、近年の研究から、普通体型ややせ型でもこのインスリン抵抗性が起こることが分かってきています。つまり、太っていなくても、メタボリックシンドロームが引き起こすような、重大な病気になる危険性があるのです。

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やせメタボになりやすいのは、どんな人?

体格指数(BMI)が21~25のごく普通の体型の人を対象にした研究によると、脂肪組織のタンクがオーバーして、インスリン抵抗性が起こりやすいのは下記のような人だとされています。

■普通体型でもメタボリックシンドロームのリスクが高い人の特徴[※1]

  • ・内臓脂肪に限らず全身の脂肪量が多い
  • ・体力がない
  • ・日常的な活動量が少ない
  • ・中性脂肪の値が高い
  • ・善玉コレステロール(HDLコレステロール)の値が低い

また最近の研究では、BMI18.5未満のやせ型の若い女性で、食べる量が少なく運動量も少ない人では、肥満の人と同レベルでインスリン抵抗性を起こしやすく、食後の血糖値が下がりにくいことが報告されています。このような「やせメタボ」は、下記のような特徴に当てはまる人でリスクが高いと考えられます。

■やせ型でもメタボリックシンドロームのリスクが高い人(やせメタボ)の特徴[※2]

  • ・食事量が少なく、運動量も少ない
  • ・筋肉量が少ない
  • ・体力がない
  • ・糖質の摂取量が少なく、脂質の摂取量が多い

 

やせメタボを予防・改善するには

インスリンが効きにくい状態が続くと、やがて糖尿病やメタボリックシンドロームを引き起こすおそれがあります。症状がほとんどないので危険性を自覚しにくいですが、そのまま放置していると動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞などの命にかかわる病気につながることもあります。生活習慣の乱れが引き起こす結果は、想像以上に怖いものなのです。

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やせ型の人でインスリン抵抗性が生じやすい人は、筋肉量が少なく、筋肉の質も低下しているという特徴があります。こういう人は筋肉に取り込まれる糖が少なくなり、血糖値が下がりにくくなるのです。改善のためには体をしっかり動かし、栄養バランスの良い食事を取ることで筋肉を増やすことが大切です。ウォーキングなどの有酸素運動、また筋トレとタンパク質の摂取を心がけましょう。

職場や地域では40歳以上の人を対象に、「特定健診(いわゆるメタボ健診)・特定保健指導」を毎年実施していますが、これはウエストの太さ(内臓脂肪の蓄積)に着目した健診なので、普通体型ややせ型の人ではメタボリックシンドロームのリスクはないと判断されてしまいます。メタボ健診で指摘を受けなくても、体脂肪率や中性脂肪が高めの人やHDLコレステロールが低めの人はリスクが高い可能性があるので、検査でこうした数値を確認することが大切です。

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インスリン抵抗性を調べるには特別な検査が必要ですが、動脈硬化がどのくらい進んでいるかは人間ドックなどで調べることが可能です。検査の方法には、頸動脈エコー検査や血圧脈波検査、頭部MRI・MRAなどがあります。当クリニックでは、いずれの検査も各種健康診断・人間ドックのオプションとして受診いただけますので、気になる方はぜひお気軽にご相談ください。

参考文献
※1 Sugimoto D, et al.: J Clin Endocrinol Metab 2019; 104: 2325-2333.
※2 Sato M, et al.: J Clin Endocrinol Metab 2021; 106: e2053-e2062.

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alt=記事監修者:
医療法人社団 進興会 理事長 森山紀之

プロフィール:
1973年千葉大学医学部卒。
元国立がん研究センター がん予防・検診研究センター センター長、
東京ミッドタウンクリニック常務理事 兼 健診センター長を経て、現職。

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