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甲状腺の機能に異常が起こる病気とは?

2022.02.14

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甲状腺の病気にかかると、からだのだるさや冷え、イライラや不眠などさまざまな症状が現れ、からだの調子が悪い状態が続きます。甲状腺の病気と診断された場合は適切な治療により症状を改善できますが、「よくある症状」などと見過ごされがちです。今回は、甲状腺の病気とその症状、検査について、わかりやすく解説します。

 

甲状腺の働きとは?

甲状腺は、のどぼとけの下に位置する蝶のような形をした臓器で、甲状腺ホルモンというホルモンを産生しています。甲状腺ホルモンは血液の流れに乗って全身に運ばれ、からだの新陳代謝を促進します。

甲状腺ホルモンが作られる量は、脳にある下垂体という部分から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)によって調整されています。血中の甲状腺ホルモン濃度が低下するとTSHが分泌され、甲状腺でのホルモン産生が増加します。
逆に、血中の甲状腺ホルモン濃度が何らかの理由で高くなりすぎるとTSHの分泌が抑えられ、甲状腺ホルモンの産生が低下します。この仕組みによって、血中の甲状腺ホルモン濃度は一定に保たれています。

甲状腺ホルモンを一定に保つ仕組みに関わる脳の部位に異常が生じたり、甲状腺自体に異常が生じたりすると、甲状腺ホルモンのバランスが乱れ、さまざまな症状が現れます。

 

甲状腺ホルモンが過剰になる病気とその症状

甲状腺ホルモンが過剰に作られ、甲状腺ホルモンが体内に増えすぎることを「甲状腺機能亢進(こうしん)症」といいます。

甲状腺機能亢進症の代表的な病気として、自己免疫疾患(※)の1つであるバセドウ病があります。甲状腺を刺激するタイプの抗体ができることで起こる病気で、甲状腺が全体的に大きく腫れてきます。原因ははっきり分かっていませんが、何らかのウイルス感染や強いストレス、妊娠・出産などがきっかけで発症するのではないかと考えられています。

甲状腺ホルモンの働きが過剰になると、からだの代謝が活発になることで脈が速くなってドキドキしたり、暑がりになって発汗量が増えたりします。また、エネルギーの消費量が高まるので、たくさん食べても体重が減ってきてしまいます。
※免疫が自分のからだの成分を攻撃するために起こる病気のこと。

 

甲状腺ホルモンが低下する病気とその症状

一方、甲状腺ホルモンが十分に分泌されず、その働きが低下した状態を「甲状腺機能低下症」といいます。甲状腺機能低下症の原因として最も多いのが、橋本病です。橋本病もバセドウ病と同じく自己免疫疾患の1つで、免疫の異常によって甲状腺に慢性的な炎症が生じます。橋本病の患者さんすべてで甲状腺ホルモンが少なくなるわけではなく、甲状腺機能低下症になるのは4~5人に1人未満とされています。

甲状腺ホルモンの働きが低下すると、代謝が悪くなるので寒がりになったり、顔やからだがむくんだりします。また、肌が乾燥したり、髪の毛が抜けやすくなったりすることもあります。

異常の状態 甲状腺ホルモンが過剰
(甲状腺中毒症・甲状腺機能亢進症)
甲状腺ホルモンの不足
(甲状腺機能低下症)
主な病名 バセドウ病 橋本病
主な症状 ・脈が速い
・暑がりになり、汗が多く出る
・体重が減る
・下痢
・食欲が異常にある
・手指が震える
・疲れやすい
・イライラする
・月経不順
・脈がゆっくり
・寒がりになり、肌が乾燥する
・便秘
・顔やからだがむくむ
・毛髪が抜けやすい
・疲れやすい、眠い
・記憶力が低下する
・月経不順

 

甲状腺の病気を調べる検査とは?

甲状腺ホルモンの働きが過剰になったり低下したりすることで現れる症状は、原因がはっきりしない不定愁訴と間違われやすいものばかりです。そのため、症状が甲状腺機能の異常によるものだと分かるまでに時間がかかってしまうことがあります。甲状腺の病気は、適切な治療を受ければ症状は改善していきます。上記のような症状が続く場合、まずは検査を受けてみることが大切です。

甲状腺機能に異常が起こる病気は女性に多く、バセドウ病の男女比は1:3~5、橋本病の男女比は1:20~30程度とされています。更年期障害のような症状や月経不順の原因が甲状腺の病気にある可能性もあるので、気になる症状が続く場合はかかりつけ医に相談してみましょう。

甲状腺機能の異常が疑われる場合、血液検査によって甲状腺ホルモンや甲状腺刺激ホルモン(TSH)の数値を調べます。数値に異常が見られたら、その原因を探るために甲状腺に対する自己抗体の有無を調べます。さらに、超音波(エコー)検査で甲状腺に腫れや異常がないかを確認します。いずれもからだへの負担は少なく、短時間で行うことのできる検査です。

甲状腺ホルモン検査や甲状腺超音波検査は、当クリニックでも実施しています。また、甲状腺の検査は各種人間ドックや健康診断のオプションとして追加いただくことも可能です。一度検査を受けてみたいというご希望があれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

【関連コラム】

この他にも、ホルモンの異常が関係する病気について解説したコラムをご用意しております。

糖尿病とは?―発症のしくみ、症状から予防法まで

 

 

参考文献
「臨床検査のガイドラインJSLM2015」
一般社団法人日本内分泌学会ホームページ(一般向け)

 

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alt=記事監修者:
医療法人社団 進興会 理事長 森山紀之

プロフィール:
1973年千葉大学医学部卒。
元国立がん研究センター がん予防・検診研究センター センター長、
東京ミッドタウンクリニック常務理事 兼 健診センター長を経て、現職。

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