動悸の原因が気になる方へ。病院に行くべき動悸の特徴と不整脈を見つける検査

「胸の奥でドクンと脈が飛ぶような感覚がある」「突然心臓の鼓動が速くなった」――。健康診断で心電図に異常が見当たらなかったとしても、ふとした瞬間にこうした動悸を経験すると不安を感じるものです。一時的な動悸であれば心配いらないことがほとんどですが、中には重大な病気が隠れている可能性もあり、原因を特定するための精密検査が必要な場合もあります。今回は、動悸の原因や病院に行くべき危険な動悸の特徴、動悸の検査について詳しく解説します。
【この記事のポイント】
・動悸とはどのような症状で、心臓の病気や全身の病気など、背後にある動悸の原因が分かります。
・すぐに医療機関を受診するべき、危険な動悸の特徴を知ることができます。
・動悸の原因を調べるための検査と、見逃されやすい不整脈の発見に役立つ検査が分かります。
目次
そもそも動悸とは、どんな症状?
動悸とは、普段は意識しない心臓の拍動が「ドキドキ」「バクバク」と、いつもより強く、速く、不規則に感じられる状態をいいます。心臓は1日に約10万回も規則正しく収縮を繰り返し、全身に血液を循環させていますが、普段、私たちは心臓の拍動を意識することはありません。しかし、規則正しい心拍が乱れると、それを動悸として感じることがあります。
動悸の感じやすさは人によって異なります。通常は1分間に60~100回程度の脈拍数が150回と極端に増えても気づかない人もいれば、1回の拍動の乱れを敏感に感じる人もいます。自覚症状の強さが必ずしも病気の重症度を反映しているわけではないので、検査を行って動悸の原因を明確にすることが大切です。
動悸が起こる原因には、どんなものがある?

動悸が起こる原因は、心臓そのものに問題がある場合だけでなく、全身の病気や日々の生活習慣、ストレスなど、多岐にわたります。ここでは、①不整脈、②不整脈以外の病気、③病気以外の要因の大きく3つに分けて動悸の原因を解説します。
原因①:不整脈
動悸の原因として最も注意しなければならないのが不整脈です。心臓は、微弱な電気信号が規則正しく流れることで、一定のリズムでポンプのように動いています。この電気の流れや発生に異常が起き、心臓の拍動リズムが乱れた状態を不整脈といいます。
不整脈には様々な種類があり、動悸の原因となる不整脈として最も多いのが期外収縮(きがいしゅうしゅく)です。期外収縮は年齢や体質的な理由で出現することが多く、治療が必要ないことがほとんどです。一方、中には心房細動や房室ブロックのような危険なものもあるため、どんな不整脈なのかを検査で見極めることが重要です。
動悸の原因となる不整脈[※1,2]
| 不整脈の種類 | 特徴 |
|---|---|
| 期外収縮 (きがいしゅうしゅく) |
本来とは違う場所から、やや早いタイミングで心臓に電気が流れてしまう不整脈。健康な人にもよく見られ、加齢とともに増加する。多くは心配いらないが、危険な不整脈に移行する場合もあるので、病気が隠れていないか検査することが重要。 |
| 心房細動 (しんぼうさいどう) |
心臓の上側の部屋(心房)が細かく震えて脈が完全に不規則になる病気。胸の不快感や息苦しさなどの症状が現れる。心房細動が原因でできた血栓が血流に乗って脳の血管をつまらせ、重篤な脳梗塞を引き起こすことがある。 |
| 発作性上室性頻拍 (ほっさせいじょうしつせいひんぱく) |
突然、脈拍が異常に速くなり(1分間に150〜200回)、しばらく続いた後に突然治まる不整脈。頻拍によって血圧が下がると、ふらついたり、目の前が暗く感じたりすることがある。短時間で止まるようなら必ずしも治療は必要ないが、長期間続くと心不全を引き起こすことがあるので注意が必要。 |
| 洞不全症候群 (どうふぜんしょうこうぐん) |
電気信号を作り出す洞結節の機能が低下し、徐脈(心拍数の低下)になる病気。この病気では心房の異常も合併することがあり、そうなると頻脈(心拍数の増加)も出てくる場合がある。一時的に心臓が停止したり、失神やふらつきなどの症状が現れた場合は、ペースメーカーを入れる治療が選択される。 |
| 房室ブロック (ぼうしつぶろっく) |
心房から心室に伝わるはずの電気信号が何らかの原因で伝わらなくなるために脈が遅くなる病気。脈が遅くなった時に、ふらつきや失神、心不全などが起こることがある。心筋梗塞や心筋症などの病気が隠れていることがあるため、十分な検査が必要。 |
原因②:不整脈以外の病気
不整脈以外にも、心臓の構造や機能そのものに異常をきたす心臓の病気が原因で動悸が起こることもあります。中には命に関わる病気が隠れていることもあるため、検査によって原因を突き止めることが重要です。心疾患以外では、貧血や甲状腺機能亢進症、肺疾患などが動悸を引き起こすことがあり、病状に応じて血液検査や肺のCT検査などを実施して原因を特定します。
動悸の原因となる不整脈以外の病気[※2]
| 病気の種類 | 特徴 |
|---|---|
| 心不全 | 心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送り出せなくなる状態。これに対応しようと心臓は拍動の回数を増やして無理をして血液を送り出そうとするため、動悸を感じる。疲れやすさや足のむくみなどの症状を伴うことが多い。 |
| 狭心症・心筋梗塞 | 心臓の筋肉に血液を送る冠動脈が狭くなったり塞がったりする病気。胸の強い痛みや圧迫感とともに、動悸や冷や汗、吐き気などの症状を伴う。急性心筋梗塞は発症すると命を落とす危険性が高く、症状が現れたら一刻も早く救急車を要請することが重要。 |
| 心臓弁膜症 | 心臓の部屋どうしを隔てるドアのような役割をしている「弁」がうまく開閉しなくなり、血液の流れが悪くなったり逆流したりする病気。進行すると動悸や息切れの症状が現れることがある。 |
| 貧血 | 血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンが少なくなる状態。ヘモグロビンは酸素を運ぶ働きをするため、ヘモグロビンが少なくなると全身に十分な酸素が供給されなくなる。これに対処しようと心臓が拍動数を上げるため、動悸や息切れが起こる。 |
| 甲状腺機能亢進症 | 甲状腺からホルモンが過剰に分泌され、全身の代謝が異常に活発になる病気。動悸や大量発汗、体のほてり、疲れやすさ、体重減少などの症状が現れる。 |
| 呼吸器疾患 | COPD(慢性閉塞性肺疾患)や肺炎、肺塞栓症(エコノミークラス症候群)などで肺の機能が低下すると、血液中の酸素が不足したり二酸化炭素が溜まりすぎたりすることで不整脈が誘発され、動悸が起こることがある。 |
| 更年期障害 | 閉経前後に女性ホルモンの分泌量が大きく変動しながら低下することで心身に様々な不調が現れる状態。自律神経の乱れが原因で動悸が起こることがある。 |
原因③:病気以外の要因
動悸は緊張や不安、ストレスなどの精神的な要因によって起こることもあります。動悸を感じた時に脈拍数や心拍のリズムが正常な場合、精神的要因が原因で生じている可能性が高いと考えられます。そのほか、コーヒーやタバコなどの嗜好品や服用している薬などが動悸を引き起こすこともあります。生活習慣やストレスが原因で起こる動悸は、多くの場合、安静にして休息をとったり、生活習慣を見直したりすることで自然に治まります。
動悸を引き起こす病気以外の要因[※2]
- 精神的・心理的要因
緊張、強いストレス、不安、パニック状態などで交感神経が刺激されると不整脈が誘発され、動悸が起こりやすくなる。 - 生活習慣の乱れ
カフェインの過剰摂取やアルコールの飲みすぎ、喫煙は交感神経を刺激し、動悸を引き起こす要因となる。また、不規則な睡眠、長時間労働や過度な残業による過労は自律神経のバランスを乱し、心拍数の上昇や不整脈のリスクを高め、動悸を誘発する。 - 薬剤による副作用
気管支拡張薬や血管拡張薬、抗精神病薬などの一部の薬は動悸を引き起こすことがある。
病院に行くべき動悸の特徴

動悸の中には、少し様子を見てもよいものと、一刻も早く医療機関を受診すべき危険なものがあります。次のような症状に当てはまる場合は、重大な心疾患や深刻な不整脈のサインかもしれないため、放置せずに早急に循環器内科を受診しましょう。
病院を受診するべき動悸の特徴
- 胸の痛みや圧迫感、冷や汗を伴う:動悸のほかに胸を締め付けられるような強い痛みや重苦しさを感じる場合は、心筋梗塞や狭心症が強く疑われる。ためらわずに救急車を呼ぶべきサイン。
- めまいや失神を伴う:放置すると心不全につながる危険な不整脈の可能性があるので、できるだけ早めに循環器内科を受診することが推奨される。
- 息苦しさや呼吸困難を伴う:動悸に呼吸困難を伴う場合、心不全や肺塞栓症などの疑いがある。
- 動悸が突然始まり、リズムがバラバラ:脈が速くなったり、脈の間隔がバラバラで不規則になったりする場合、脳梗塞のリスクを高める心房細動という不整脈の疑いがある。
- 30分以上動悸が続く、治まっても繰り返す:心房細動などの危険な不整脈のほか、貧血や甲状腺機能亢進症などの病気が隠れている可能性があるため、検査で原因を特定することが重要。
動悸が一時的に治まったとしても、動悸以外の症状を伴ったり、繰り返したりする場合は、「気のせいだろう」と自己判断せず、医療機関を受診しましょう。少しでもいつもと違うと感じたら、早めに専門医に相談することが大切です。
危険な不整脈を早期発見するには、どんな検査を受けるべき?
動悸の原因を特定するために医療機関で実施される検査には、心電図検査や心臓超音波(エコー)検査、血液検査などがあります。特に、不整脈の可能性がある場合、心電図検査は欠かせません。
心電図検査は、胸や手足に電極をつけて心臓の電気的な活動を波形として記録する検査です。最も一般的なのはベッドに横になった状態で検査する方法で、これを安静時心電図といいます。痛みもなく簡便に行えるという利点がある一方、記録時間が数十秒と短いため、検査時に不整脈が出ていなければ異常を検出できないという弱点もあります。
そこで、その弱点を補うために実施されるのがホルター心電図検査です。携帯型の心電図記録装置を装着したまま日常生活を過ごすことで、24時間連続で心臓の電気的活動を記録します。これにより、睡眠中や仕事中、運動中など、どのタイミングでどのような不整脈が出ているかを捉えることができます。
ミッドタウンクリニック名駅では、コードレス型・防水仕様のホルター心電図「Heartnote®」を採用しています。従来のホルター心電図に比べて薄く、軽量のため、普段通りに近い生活を送りながら検査を行うことが可能です。Heartnote®は各種健康診断・人間ドックのオプション検査として受診いただけます。

「健康診断の心電図検査では異常が出ていないが、動悸が気になる」という方は、ぜひ一度、Heartnote®や心臓超音波(エコー)検査などで動悸の原因を詳しく調べてみることをおすすめします。どのような検査を受けたらいいか迷われた場合は、ぜひお気軽にお問合せください。
動悸や不整脈検査についてのよくある質問
動悸の対処法や不整脈の検査について、よくある質問にお答えします。
Q. 動悸が起こったら、どう対処すればいいですか?
A. 突然動悸が起こったら、まずは椅子に座るか横になり、深呼吸して安静にしましょう。自律神経のバランスの乱れが動悸を引き起こしている場合、息を長く吐くことを意識したゆっくりとした腹式呼吸が有効です。コーヒーやカフェインなどの刺激物は動悸を引き起こす原因となるので避けるようにしましょう。動悸とともに胸痛や息切れ、失神などを伴う場合は、速やかに医療機関を受診してください。
Q. 動悸で医療機関を受診する際、医師にどんなことを伝えればいいですか?
A. 動悸が起こった時の状況を詳しく伝えることが、原因を診断する際に役に立ちます。どういう状況で動悸が起こったか(安静時か運動時か)、動悸の始まりと終わりは突然か、どのくらい持続したかなどを伝えましょう。可能な場合は動悸が起こった時に自分で脈を測り、脈拍数や脈拍のリズムをメモしておくとよいでしょう。
Q. 心電図検査で異常なしといわれたのですが、詳しい不整脈検査は必要ですか?
A. 健康診断などで行う一般的な心電図検査は、ベッドに横になって検査を受けている間の数十秒から数分間の心拍を記録するものです。そのため、検査時に不整脈を捉えられなければ、「異常なし」と判定されます。心電図検査で異常なしと判定されたからといって、危険な不整脈がないとは言えないため、動悸の自覚症状がある場合はホルター心電図検査や心臓超音波(心エコー)検査などの詳しい不整脈検査を受けることをおすすめします。
Q. Heartnote®と通常のホルター心電図検査の違いは何ですか?
A. 従来のホルター心電図検査と比べ、Heartnote®は重さが約13gと非常に小さく、コードがないため、装着中の煩わしさが少ないという特徴があります。防水仕様なので、装置を付けたままシャワーや半身浴が可能です。また、通常の心電図検査と違って24時間連続で心臓の電気活動を測定できるだけでなく、最長7日間連続して測定できる機能もあり、発作的に起こる不整脈が捉えやすいという利点もあります。
参考文献
- ※1 日本循環器学会, 不整脈.
- ※2 日本臨床検査医学会, 臨床検査のガイドライン JSLM2021.
人間ドックコース・料金

当クリニックでは皆さまのご要望に柔軟に対応できるよう、多様なコースをご用意しています。
どのコースを受けたら良いかわからない場合は、お気軽にご相談ください。

記事監修
森山 紀之
医療法人社団進興会 理事長
1973年千葉大学医学部卒。
元国立がん研究センター がん予防・検診研究センター センター長、東京ミッドタウンクリニック常務理事 兼 健診センター長を経て、現職。









