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お酒の飲み過ぎだけじゃない!?肝機能検査のAST、ALT、γ-GTPで分かること

2022.06.10

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健康診断や人間ドックで見つかることも少なくない肝機能の異常。自覚症状は出にくく、お酒の飲み過ぎなどで検査値に異常が出ることもあるため、「病気ではないだろう」とそのまま放置してしまう人も多いのではないでしょうか。しかし、肝機能の数値の異常には、重大な病気が隠れていることもあるのです。今回は、肝機能検査で分かる病気について詳しく解説します。

 

“体内の化学工場”といわれる肝臓の働き

肝臓は、右側の肋骨の下に収まっている臓器です。人のからだの中で最も大きく、その重さは成人で1kgほどあります。

肝臓には、主に①栄養素を取り込み、からだに必要な成分に変える、②有害物質を解毒・分解する、③食べ物の消化に必要な胆汁を作る、という3つの働きがあります。

〈肝臓の3つの働き〉

  • ①栄養素を蓄え、必要な成分に変える
    食事から摂った栄養素は、胃や腸で分解・吸収され、肝臓に送られます。肝臓は、これらの栄養素をからだが利用しやすい物質に作り変えて、貯蔵します。そして、必要に応じて栄養素を分解・合成し、血液の流れに乗せて全身の器官や臓器に送り出します。
  • ②有害物質を解毒する
    肝臓は、アルコールなどの外から摂取した有害物質や、アンモニアなどの体内で作られた有害物質を毒性の低い物質に変え、尿や胆汁へ排泄する働きを担っています。解毒が必要なアルコールや薬剤を必要以上に摂取すると、肝臓に大きな負担をかけてしまうため注意が必要です。
  • ③胆汁を作る
    脂肪の消化を助ける胆汁は、肝臓で作られます。胆汁には、ビリルビンという黄色い色素やコレステロール、胆汁酸が含まれています。ビリルビンは赤血球が古くなって壊れるときに出てくる色素で、肝臓で処理されて胆汁中に入ります。肝臓の機能が障害されてビリルビンが処理できなくなると、血液中にビリルビンが大量に残り、皮膚が黄色くなる黄疸(おうだん)が現れます。

さまざまな酵素によって物質を作り出したり、分解したりと複雑な化学変化が内部で絶えず起こっている肝臓は、いわば体内の化学工場といえます。

 

血液検査で分かる肝機能の状態と疑われる病気

肝臓は大きな臓器なので、一部の機能が損なわれても症状が現れにくく、「沈黙の臓器」と呼ばれています。自覚症状に乏しいからこそ、定期的に健康診断を受けて、肝臓が正常に機能しているかどうかをチェックすることが重要です。

肝臓の機能は、血液検査で調べることができます。肝機能の代表的な検査項目として、AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPなどがあります。

■AST(GOT)、ALT(GPT)

AST(GOTともいう)とALT(GPTともいう)は、肝臓の細胞で作られる酵素です。肝臓に障害が起こって細胞が壊れると血液に流れ出るため、血液中の濃度が上昇します。

基準値は検査機関によって異なることがありますが、日本人間ドック学会によるといずれの値も30 IU/L以下が正常値とされています。正常値を大きく上回る場合、急性肝炎や慢性肝炎、アルコール性肝炎、脂肪肝、肝臓がんなどの病気が疑われます。

AST、ALTは同時に検査することが多く、両者の比も重要となります。アルコール性肝炎や肝硬変、肝臓がんなどではAST>ALTとなることが多いのに対し、慢性肝炎や非アルコール性脂肪肝などではAST<ALTとなることが多いとされています[※]。

■γ-GTP

γ-GTPは、胆道から分泌される酵素で、肝臓の解毒作用に関わっています。肝臓や胆道に異常が起こると血液に流れ出て、血液中の濃度が上昇します。

基準値は検査機関によって異なることがありますが、日本人間ドック学会によると50 IU/L以下が正常値とされています。γ-GTPは飲酒習慣を反映する検査項目として知られており、普段からよくお酒を飲む人では値が高くなります。ただ、健康な人であれば一定期間禁酒をすることでγ-GTPの値は低下します。

γ-GTPが正常値を大きく上回る場合、アルコールが原因の肝障害や薬剤性肝障害、胆道系の病気などが疑われます。また、アルコールとは無関係の非アルコール性脂肪肝(NAFLD)や、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)でも値が上昇することが分かっています。

 

健康診断で肝機能異常が指摘されたら、必ず再検査を!

ASTやALT、γ-GTPの検査は、健康診断や人間ドックの血液検査項目に含まれるため、健康診断や人間ドックをしっかり受けることが異常の早期発見につながります。一方、こうした検査は肝機能に異常があるかどうかを知る手がかりにはなりますが、異常の原因を突き止めるにはさらに詳しい検査を受ける必要があります。

検査で肝機能の異常が見つかったら、血液検査で肝炎ウイルスの抗原や抗体、各種の自己抗体を調べ、ウイルス性肝炎や自己免疫性肝炎の可能性を確認します。さらに、肝臓への脂肪の蓄積状態や、肝硬変や肝臓がんなどの異常の有無を確認するため、超音波(エコー)検査などの画像検査を行います。

肝臓がんなどの肝臓の病気は健康診断がきっかけで見つかることも少なくありません。健康診断で異常が指摘されたら、必ず医療機関を受診するようにしましょう。健康診断で肝機能の検査値に異常が認められた方やしばらく健康診断を受けていないという方は、当クリニックまでお気軽にご相談ください。

 

【関連コラム】

この他にも、がんの可能性を見つける検査(腫瘍マーカー検査)について解説したコラムをご用意しております。

腫瘍マーカー検査とは、どんな検査?

 

 

参考文献
※ 日本臨床検査医学会ガイドライン作成委員会 編「臨床検査のガイドライン JSLM2018」

 

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alt=記事監修者:
医療法人社団 進興会 理事長 森山紀之

プロフィール:
1973年千葉大学医学部卒。
元国立がん研究センター がん予防・検診研究センター センター長、
東京ミッドタウンクリニック常務理事 兼 健診センター長を経て、現職。

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