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高血圧の診断基準とは?知っておきたい高血圧のキホン

2021.09.10

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日本人の50代男性の約60%、女性は約35%が該当するとされる高血圧。さらに30代、40代でも血圧が高めと指摘される人も少なくありません。高血圧を放っておくと、知らずしらずのうちに臓器に負担がかかり、命に関わる病気を発症するリスクが高まります。ここでは、高血圧の診断基準や高血圧が危険な理由、自分でできる予防・改善法などについて解説します。

 

病院と自宅では違う?高血圧の診断基準とは

血圧とは、心臓から送り出される血液が血管を流れていくときに血管の壁を押す圧力のことです。血圧には、上の血圧(収縮期血圧)と下の血圧(拡張期血圧)があります。上の血圧は、心臓が収縮して血液を押し出すときの血圧で、血管にもっとも強い圧力がかかっているときの値です。一方、下の血圧は心臓が拡張して血液の流れが緩やかになっているときの血圧で、圧力がもっとも弱いときの値です。

血圧の値はmmHg(ミリメートル・エイチ・ジー)という単位で表します。血圧が高い状態を指す高血圧の診断基準は、上の血圧が140mmHg以上、または下の血圧が90mmHg以上です。血圧は常に変動しているので1回だけの測定で高血圧と診断することはなく、少なくとも2回以上、別の日に測定して判定します。

なお、自宅で測った血圧は、病院の診察室で測ったときよりも少し低めになります。そのため、高血圧の基準値も家庭血圧ではやや低く、上の血圧が135mmHg以上、または下の血圧が85mmHg以上で高血圧と診断されます。

 

高血圧になりやすいのは、どんな人?

高血圧は日本でもっとも患者数が多い病気で、その数は約4,300万人と推計されています。一般的に、高齢になるほど血管の柔軟性が失われるため、血圧は加齢とともに上昇します。しかし、高血圧はシニア世代に限らず、30代、40代の働き盛りの世代でもよくみられる病気です。若い世代では男性に多く、30代では5人に1人、40代では3人に1人が高血圧だとされています。

高血圧には、原因を1つに特定しにくい本態性(ほんたいせい)高血圧と原因がはっきりしている二次性高血圧がありますが、日本人の高血圧のほとんどが本態性高血圧です。本態性高血圧は、遺伝的な要素(体質)や塩分の過剰摂取、肥満などさまざまな要因が組み合わさって起こると考えられています。

〈高血圧のリスクを高める要因〉

  • ・家族に高血圧の人が多い(遺伝的要因)
  • ・塩分の摂取量が多い
  • ・過食や偏食による肥満
  • ・運動不足
  • ・大量の飲酒や喫煙の習慣がある
  • ・日常的にストレスにさらされている

 

高血圧を放置すると危険な理由

高齢になるほど高血圧はありふれた病気になっていきますが、だからといって何の対策もせず放っておいていいというわけではありません。なぜなら、血圧が高い状態が続くと血管や臓器に負担がかかり、命にかかわる病気を発症するリスクが高まるからです。

高血圧によって脳や心臓の血管の動脈硬化が進むと、脳卒中や心筋梗塞、心不全、不整脈などの重大な病気につながります。また、腎臓の血管に動脈硬化が起こると、腎臓のはたらきが低下する慢性腎臓病(CKD)や、透析治療が必要な腎不全を発症することもあります。さらに、中年期(50~64歳)の高血圧が将来の血管性認知症の発症リスクを高めることも明らかになっています。

高血圧はサイレントキラーと呼ばれるように、ほとんどの場合、自覚症状がないまま病気が進行していきます。症状がないとついつい放置してしまいがちですが、体内の臓器はすでに傷みはじめているかもしれません。健康診断などで高血圧を指摘されたら、早めにかかりつけ医に相談するようにしましょう。

 

自分でできる、高血圧の予防・改善法

将来起こる可能性のある脳卒中や心臓病などを予防するため、高血圧と診断されたらきちんと治療に取り組むことが大切です。高血圧の治療には、薬を使う薬物療法と生活習慣の改善などによる非薬物療法があります。生活習慣の改善は、高血圧の予防にも効果的です。特に、健康診断で血圧が高めと指摘された人は、それ以上血圧が上がらないように生活習慣を見直すことが大切です。

〈自分でできる高血圧の予防・改善法〉

  • ・食塩摂取量は1日6g未満に抑える
  • ・野菜や果物、多価不飽和脂肪酸(魚などに含まれる脂質)を積極的に摂る
  • ・コレステロールや飽和脂肪酸(赤身肉などに含まれる脂質)の摂取を控える
  • ・適正体重を維持する(BMI25未満)
  • ・アルコールは適量を守る(1日の飲酒量は日本酒なら1合以下、ビールなら中瓶1本以下、ワインなら2杯以下にとどめる)
  • ・禁煙する(受動喫煙も避ける)
  • ・ややきつい程度の有酸素運動を毎日30分以上、または週180分以上行う

高血圧によって体内の臓器がどのくらい影響を受けているかは、血圧を測るだけではわかりません。高血圧の基準には達していなくても、血圧が高めだと脳卒中や心臓病のリスクが高まることが知られています。 血圧のチェックはもちろんのこと、必要に応じて血液検査や尿検査、心電図、心臓超音波検査(心エコー)などで体の状態を定期的に調べることが大切です。

 

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参考文献
・日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」
・日本高血圧学会「一般向け『高血圧治療ガイドライン』解説冊子」

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記事監修者:
浜松町ハマサイトクリニック 院長 上原 文

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