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要介護にならないために。骨粗しょう症対策として受けておきたい骨密度検査

公開日:2026.01.27

骨粗しょう症とは、どんな病気?

高齢者が要介護状態になる大きな原因の1つが骨折で、骨折を引き起こす重大な疾患となっているのが「骨粗しょう症」です。骨粗しょう症による骨折は、老後の生活の質(QOL)を大きく損ない、健康寿命を縮めてしまうだけでなく、生命予後にも影響を与えるといわれています。今回は、骨粗しょう症の原因や予防、骨粗しょう症検診として実施される骨密度検査について詳しく解説します。

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骨粗しょう症とは、骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気です。骨がもろくなる要因には、(1)骨の密度(骨量)の減少、(2)骨の質(骨質)の劣化の2つがあります。

(1)骨量について

骨量は男女ともに幼少期から増加し続け、20歳頃に最大になります。最大に達した骨量は、40歳半ばまで保たれますが、50歳近くから徐々に減少し始めます。特に、女性の場合は男性よりも骨量の減少が急激に起こります。これは、加齢に加えて、閉経による女性ホルモンの減少が骨量の減少と深く関わっているためです。

(2)骨質について

骨の強度を決めるもう一つの要因である骨質も、閉経や加齢、生活習慣病の持病による酸化ストレスの高まりなどによって、年齢とともに劣化していきます。
骨が丈夫な若い人では、交通事故やスポーツ中の衝突など、大きな力が加わった時に骨折しますが、骨粗しょう症で骨がもろくなった高齢者の場合には、室内で転んだだけでも骨折につながる恐れがあります。特に背中の骨折(椎体骨折)や股関節の骨折(大腿骨近位部骨折)などは、日常生活に支障をきたし、生活の質(QOL)も損なわれてしまいます。実際、転倒・骨折は、要介護になる原因の第3位であり(※1)、骨粗しょう症は高齢者にとっては非常に重大な病気といえます。

骨密度が低下するのはなぜ?

骨の強さは「骨量(骨密度)」と「骨質」によって決まりますが、特に骨量(骨密度)が占める役割が大きいと考えられています。

骨密度の低下は、骨の新陳代謝がうまくいかなくなることで起こります。骨は硬くて変化しないように見えますが、他の臓器と同じように、絶えず活動している臓器です。古くなった骨を溶かす「骨吸収」と新しい骨を作る「骨形成」がバランスよく繰り返されることで、骨は健康な状態に維持されています。

この骨吸収と骨形成のスピードのバランスが保たれていれば、骨密度は適正に維持されますが、骨を溶かす骨吸収スピードのほうが上回ってしまうと骨密度が低下してしまいます。例えば、加齢に伴って体内で作られるビタミンDが低下すると、腸管や腎臓からのカルシウムの吸収が低下し、骨形成が妨げられます。また、女性ホルモンのエストロゲンが欠乏すると、骨を作る骨芽細胞以上に、骨吸収を担う破骨細胞の働きが活性化して上回ることで、骨密度の低下が起こります。

骨密度が低下するのはなぜ?

加齢や女性ホルモンの減少が骨密度を低下させることから、骨粗しょう症は閉経後の女性に特に起こりやすい病気です。骨粗しょう症の患者数は1,590万人と推計されており、そのうち女性は全体の7割以上、1,180万人にも上ります(※2)。超高齢社会を迎える日本では、今後ますます患者数が増えると考えられており、予防や検診の重要性がより高まっていくものと思われます。

年代別骨粗しょう症の予防策

骨粗しょう症は40代後半から増えてくる病気ですが、骨の強さは若いうちに決まってしまうため、骨粗しょう症の予防は若いうちから意識することが大切です。

若年期(幼少期~20代)に行いたい骨粗しょう症予防法

骨粗しょう症を予防する上で最も重要とされているのが、「骨貯金」です。骨量(骨密度)は幼少期から増加し続け、20歳頃に最大に達しますが、この若いときの最大骨量が高いほど骨粗しょう症になりにくいとされています。最大骨量に影響を与える要素には、女性ホルモンや腸内細菌叢のバランス、運動、栄養、遺伝など様々なものがあります。遺伝のようにコントロールできない要素もありますが、運動や栄養は生活習慣を変えることで改善させることができます。
運動で効果的なのは、ジャンプや踏み込み動作など、骨に強い衝撃を伴う種目といわれており、思春期には週1~2回程度の運動を行うことが推奨されます。幼少期のうちは運動の内容にこだわらず、遊びの中でしっかり体を動かすことが大切です(※2)。栄養に関しては、食事からカルシウムやビタミンDをしっかり摂取し、過度なダイエットは避けることが大切です。なお、30代についても、ほぼ同様のことがいえます。

中高年期(40~50代)に行いたい骨粗しょう症予防法

若年者と同様に、カルシウムとビタミンDを積極的に摂取し、スクワットのような筋肉に負荷をかける運動やランニングなどの衝撃を伴う運動を行うことが、骨粗しょう症予防につながります。
運動に関しては、負荷が高い方が骨密度維持の効果が大きいものの、負荷がそれほど大きくない運動でも効果は期待できます。運動習慣がない方は、内容にこだわらず、まずは週2回以上の運動を続けてみましょう。
中高年者では体重管理も重要です。やせや肥満は骨粗しょう症による骨折のリスクが高まります。BMI(Body Mass Index:体格指数)は22が標準とされており、50~64歳はBMI 20.0~24.9、65歳以上はBMI 21.5~24.9を目安に体重管理を行うことが推奨されます(※3)。ほかにも、喫煙や過度の飲酒は骨折のリスクを高めることが明らかになっています。1日の飲酒量は、ビールなら中びん1本、日本酒なら1合、ワインならグラス2杯程度までにとどめておくとよいでしょう。

40歳を過ぎたら骨粗しょう症検診(骨密度検査)を!

40歳を過ぎたら骨粗しょう症検診(骨密度検査)を!

骨粗しょう症は自覚症状に乏しく、もし痛みなどの自覚症状が出ている場合は、すでに骨折が起こっていることも珍しくありません。骨粗しょう症による背骨の骨折では、背骨の一部が潰れるように骨折が起こるため、患者さんは痛みを感じても、それが骨折によるものだと気づかないこともあります。

いつの間にか進行している骨粗しょう症を早期に発見するには、定期的に「骨粗しょう症検診」を受けることが大切です。各自治体では国の指針に基づき、40歳から70歳までの女性を対象に、5歳きざみの節目の年齢で骨粗しょう症検診を実施しています。公費による助成があるため、対象者は一部の自己負担金で受診できます。名古屋市でも、「骨粗しょう症検診」を実施しています(2025年12月現在)。

骨粗しょう症検診では、問診と骨密度検査を実施します。骨密度検査には、超音波が骨に伝わる速度から骨密度を測定する「定量的超音波法(QUS)」や、骨に2種類のX線を当てて骨密度を測定する「二重エネルギーX線吸収法(DXA)」などがあります。

自治体が実施する骨粗しょう症検診は対象者が限定されており、受診の機会を逃す人も少なくありません。実際、骨粗しょう症検診の受診率は全国平均で5.5%と、非常に低い値にとどまっています(※2)。高齢になれば、女性のみならず男性でも骨粗しょう症による骨折が増え、老後のQOLが大きく低下する可能性があることから、骨粗しょう症検診は男女問わず受けることが大切です。

当院では超音波法による骨密度検査を実施しており、かかとの骨に超音波を当てるだけで簡便に行え、被ばくの心配がないため、妊娠中でも検査が可能です。

女性の場合は40歳を過ぎたら、男性の場合は70歳を過ぎたら、定期的(1~2年に1回)に骨密度検査を受けるようにしましょう。喫煙や過度の飲酒、やせなどの骨粗しょう症の危険因子がある場合、男性でも50歳を過ぎたら骨密度を測定しておくことをおすすめします。当院では各種健康診断・人間ドックのオプションとして骨密度検査を実施しているほか、名古屋市の骨粗しょう症検診の受け入れ(対象の方は無料)も行っています。 ご希望の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

また、当院では骨の健康に欠かせない女性ホルモン「エストロゲン」を採血だけで簡単にチェックできる「女性ホルモン検査」もオプション検査として実施しています。女性の方は健康管理の一環として、骨密度と併せて自分自身の女性ホルモンの数値(状態)を把握しておくこともおすすめします。

 

 

参考文献

  • (※1)厚生労働省, 2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況.
  • (※2)骨粗しょう症の予防と治療ガイドライン作成委員会(日本骨粗しょう症学会 日本骨代謝学会 骨粗しょう症財団), 骨粗しょう症の予防と治療ガイドライン 2025年版.
  • (※3)厚生労働省, 日本人の食事摂取基準日本人の食事摂取基準(2025年版).

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当クリニックでは皆さまのご要望に柔軟に対応できるよう、多様なコースをご用意しています。
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森山 紀之

医療法人社団進興会 理事長

1973年千葉大学医学部卒。
元国立がん研究センター がん予防・検診研究センター センター長、東京ミッドタウンクリニック常務理事 兼 健診センター長を経て、現職。

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