緊張型頭痛や片頭痛…日本人に多い頭痛のタイプ別原因と対処法を解説

だれもが経験したことのある、頭痛。頭痛にはさまざまな種類があり、なかには対応が遅れると命に関わるような危険なものもあります。今回は、頭痛の種類と対処法について詳しく解説します。
目次
頭痛にはどんな種類がある?
頭痛とは、頭部の一部あるいは全体が痛む症状・病気の総称です。後頭部と首の境目や眼の奥の痛みも頭痛として扱われます。頭痛にはさまざまなタイプがあり、はっきりした原因や病気が見当たらず頭痛そのものが問題となる「一次性頭痛」と、脳や頭部の病気が原因で頭痛の症状が現れる「二次性頭痛」に大きく分けられます。
一次性頭痛(はっきりした原因がない頭痛)
一次性頭痛には、「緊張型頭痛」「片頭痛」「三叉神経・自律神経性頭痛」などがあります。三叉神経・自律神経性頭痛は、さらに「群発頭痛」「発作性片側頭痛」「短時間持続性片側神経痛様頭痛発作」「持続性片側頭痛」などのタイプに分けられます。頭痛の中でもっとも多いのは「緊張型頭痛」で、日本における有病率(病気を持つ人の割合)は22.4%と報告されています(※1)。次いで多いのが「片頭痛」で有病率は8.4%です。三叉神経・自律神経性頭痛の頻度はそれほど高くなく、群発頭痛の有病率は10万人当たり56~401人程度とされています(※2)。
群発頭痛は患者数こそ少ない頭痛ですが、一度発症すると目の奥や頭の片側に強烈な痛みを感じる頭痛発作が1~2カ月に渡ってほとんど毎日起こるため、日常生活への影響は甚大です。発症年齢としては20~40歳が多く、ほかの頭痛とは異なり、女性よりも男性のほうが発症しやすい傾向があります。
二次性頭痛(他の疾患が原因で発症する頭痛)
二次性頭痛は頭頸部の外傷、くも膜下出血、脳出血、脳動脈解離、脳腫瘍、髄膜炎などが原因で生じる頭痛であり、命に関わるような頭痛も存在します。片頭痛のような一次性頭痛を持っていると、二次性頭痛が発生しても「いつもの頭痛だから問題ない」と考えてしまいがちですが、経験したことのないような激しい頭痛や吐き気などの症状が現れたら、ためらわずに一刻も早く医療機関を受診することが大切です。

緊張型頭痛の痛みの特徴と要因

「緊張型頭痛」は一次性頭痛の中で最も多い頭痛であり、女性のほうが有病率は高いとされていますが、片頭痛ほどの男女差はありません(※2)。頭痛が起こる頻度が1カ月に1~14日の場合は「反復性緊張型頭痛」、1カ月に15日以上の場合は「慢性緊張型頭痛」と、頻度によって分類されます。
緊張型頭痛の症状
「緊張型頭痛」の痛みは、頭の両側が圧迫されるような、あるいは締め付けられるような鈍い痛みで、脈打つような拍動性はありません。痛みの強さは軽度~中等度で、日常生活に支障が出る場合もありますが、寝込んでしまうほど強い痛みを感じることはありません。頭痛は30分~数日間にわたって繰り返し起こる場合と、毎日のように絶え間なく続く場合があります。吐き気や嘔吐はありませんが、症状が長く続く「慢性緊張型頭痛」の場合は、症状が強くなり軽い吐き気を伴うこともあります。
緊張型頭痛の原因と対処法
「緊張型頭痛」は患者数の多い頭痛ですが、まだ不明なことが多く、発症メカニズムや誘因ははっきりとは解明されていません。ただ、さまざまな研究から、肥満や運動不足、喫煙が危険因子であると考えられています(※2)。
「緊張型頭痛」の患者さんでは、健康な人と比べると頭や首を囲む筋肉の緊張が強いことが知られており、ストレートネックや同じ姿勢でPCなどを凝視する作業などが筋肉を過剰に緊張させ、頭痛を誘発する可能性が指摘されています(※3)。また、ストレスや抑うつなどの心理的な要因も、頭頸部の筋肉を過剰に緊張させ、緊張型頭痛を引き起こすと考えられています。
軽い「緊張型頭痛」であれば、疲労やストレスを解消する、体操や運動をする、マッサージで筋肉の緊張をほぐす、などの対処法で軽減することもあります。“うつむき姿勢”が頭痛の原因となっている場合もあるので、PCやスマホを見るときは姿勢に気を付けることも大切です。
女性に多い「片頭痛」の痛みの特徴と要因

一次性頭痛のなかでも、「片頭痛」は珍しいものではなく、誰もがかかる可能性のある病気です。一般的に男性よりも女性に多く、30歳代女性の有病率は約20%に達するといわれています(※2)。/p>
片頭痛の症状
「片頭痛」の痛みは、片側または両側のこめかみ付近がズキズキと脈打つような頭痛発作を繰り返すことが特徴です。頭痛発作は4~72時間持続し、歩行や階段の上り降りなど、体を動かすことで痛みが悪化します。頭痛がある時は感覚が過敏になり、光や音、臭いを不快と感じる場合が少なくありません。また、吐き気や嘔吐を伴うことも多いといわれています。
「片頭痛」の中には、痛みの直前に「前兆」症状が現れるタイプがあります。前兆として最も多いのは「閃輝暗点(せんきあんてん)」と呼ばれる症状で、キラキラした光やギザギザの光が視界に現れて見えづらくなるという視覚性の症状が5~60分ほど続き、頭痛が始まります。
また、頭痛が始まる前に、何となく頭痛が起こりそうな予感がしたり、気分の変調や眠気、疲労感、集中力の低下、首の凝りなどの症状を経験したりする場合があります。これは、前兆とは区別して「予兆」といいます。高血圧の場合も類似の症状が出ることがありますので、血圧も確認しましょう。
片頭痛の原因と対処法
「片頭痛」が起こるメカニズムはまだはっきりとは解明されていませんが、片頭痛を誘発したり、悪化させたりする要因はある程度分かっています。片頭痛患者を対象とした調査によると、誘因として最も多いのはストレスで、次いで女性ホルモンの増減(月経などによるもの)、絶食、天候、睡眠障害、香水やにおい、首の痛み、光、アルコールなどとなっています(※2)。
片頭痛の発作を引き起こす主な要因(※2)
| 誘発因子 | 具体的な要因 |
|---|---|
| 精神的な要因 | ストレス、ストレスからの解放、疲れ |
| 身体的な要因 | 月経周期、寝すぎ、寝不足 |
| 環境的な要因 | 天候(気圧)の変化、温度差、におい、音、光 |
| ライフスタイル要因 | 運動、空腹、脱水、アルコール、性的活動、旅行、夜ふかし |
「片頭痛」の誘因は人によって異なります。誘因を特定するためには、「いつ」「どのように」頭痛が起こったかを日記のように毎日記録しておくのがおすすめです。片頭痛かもしれないと思ったら、頭痛学会が公開する「頭痛ダイアリー」などを活用して、記録を付けておくと医療機関を受診する際にも役立ちます。
いつもと違う頭痛を感じたら、迷わず医療機関へ!
「緊張型頭痛」や「片頭痛」などの一次性頭痛は、痛みによって日常生活に支障をきたすこともありますが、それ自体が命に関わることはありません。一方、病気の症状として発生する二次性頭痛の中には命を脅かす危険なものがあります。いつもと違う激しい痛みを感じたり、痛みとともに吐き気や発熱などの症状が現れたら、ただちに医療機関を受診することが大切です。
注意すべき二次性頭痛の症状
| 頭痛の原因となる病気 | 痛みの特徴 |
|---|---|
| くも膜下出血 | 「ハンマーで殴られたような痛み」などと表現されることもある、突然の激しい頭痛。吐き気や嘔吐を伴うこともある |
| 脳出血 | 急な頭痛とともに、言葉が話しにくい、手足が動かしにくい、目が見えにくいなどの症状が現れる |
| 脳動脈解離 | 脳動脈解離が起こった部分に限局した突然の強い頭痛。脳動脈解離からくも膜下出血や脳梗塞を発症すると、意識障害や麻痺、ろれつが回らないなどの様々な症状が現れる |
| 脳腫瘍 | 頭痛のほかに、吐き気や意識障害、運動麻痺、手足のしびれ、ものが二重に見える、視野が欠ける、聴力が低下するなどの様々な症状が現れることが多い |
| 髄膜炎、脳炎 | 頭痛とともに、高熱や嘔吐、意識障害、首の硬直などの症状が現れ |
二次性頭痛の原因となる病気は、早期発見によって治療したり、発症を予防できるものもあります。病気のサインとして頭痛が現れる前に、人間ドックなどを受診して病気の有無やリスクを確認しておくことが大切です。
脳の断面を調べる「頭部MRI検査」や脳の血管の状態を調べる「頭部MRA検査」を行えば、脳卒中のリスクやくも膜下出血の原因となる脳動脈瘤の有無、脳腫瘍の有無などを幅広く調べることができます。当クリニックでは、これらの検査を各種人間ドックのオプションとして受けていただくことができるほか、頭部MRI/MRA検査を含む脳ドックコースもご用意しております。
繰り返し起こる頭痛の大部分は命の危険はないものですが、中には重大な病気が隠れている場合もあるので、脳ドックを受けたことがない方はぜひ一度受けておくことをおすすめします。
また、当クリニックでは「外来診療」も行っております。頭痛でお悩みの方は「脳神経外科」をご受診ください。「脳神経外科」では、脳神経外科専門医による診察を行っており、必要に応じて当日のCT・MRI検査も対応しています。
参考文献
- (※1)Sakai F, et al.: Cephalalgia. 1997; 17: 15-22.
- (※2)日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会, 頭痛の診療ガイドライン2021
- (※3)大熊壮尚: 日本頭痛学会誌. 2023; 50: 103-106.
人間ドックコース・料金

当クリニックでは皆さまのご要望に柔軟に対応できるよう、多様なコースをご用意しています。
どのコースを受けたら良いかわからない場合は、お気軽にご相談ください。

記事監修
森山 紀之
医療法人社団進興会 理事長
1973年千葉大学医学部卒。
元国立がん研究センター がん予防・検診研究センター センター長、東京ミッドタウンクリニック常務理事 兼 健診センター長を経て、現職。







