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心筋梗塞はどんな人がなりやすい?知っておきたいリスクと予防策

公開日:2025.05.15

心筋梗塞になりやすいのは、どんな人?

心筋梗塞は発症すると約40%という高い確率で命を落としてしまう病気であり(※1)、いかに発症を防ぐかが重要です。そのためには、心筋梗塞のリスクを高める要因を知っておき、日頃からリスクを下げる行動をとることが大切です。今回は、心筋梗塞になりやすい人の特徴や日常でできる予防策などについて詳しく解説します。

心筋梗塞になりやすいのは、どんな人?

心筋梗塞は、心臓を動かす筋肉(心筋)に血液を送る冠動脈が詰まり、酸素や栄養が届かず心筋が死滅(壊死)してしまう病気です。壊死した心筋は動かなくなってしまうため、壊死の範囲が広いと心臓のポンプ機能が大きく低下したり、命にかかわる不整脈が現れたりすることがあります。

冠動脈が詰まってしまう主な原因は、動脈硬化です。そのため、動脈硬化を進行させる要因となる持病や生活習慣がある人は、心筋梗塞の発症リスクが高いと言えます。発症率は女性よりも男性のほうが高い傾向にありますが、更年期以降では女性も男性と同じくらい発症しやすくなります。

心筋梗塞のリスク因子として知られているものに、高血圧や糖尿病、脂質異常症、慢性腎臓病(CKD)、肥満、喫煙などがあります。これらのリスク因子を多く持っているほど、心筋梗塞を発症する可能性が高くなります。

心筋梗塞の発症リスクをチェック

日本動脈硬化学会は、リスク因子をどのくらい持っているかで、10年以内に心筋梗塞を発症する確率を算出する予測ツールを無料で公開しています(※2)。健康診断の結果が手元にあれば、数値を入力するだけで心筋梗塞の発症リスクが高いか低いかが分かるので、気になる方はチェックしてみてください。
【外部リンク】動脈硬化性疾患発症予測ツール(一般向け)

心筋梗塞と遺伝の関係は?

心筋梗塞と遺伝の関係は?

生活習慣などから生じる上記のリスク因子に加え、心筋梗塞の発症のしやすさには遺伝的な要因も影響していると考えられています。心筋梗塞という病気そのものは遺伝しませんが、心筋梗塞になりやすい人の特徴(リスク因子)のうち、高血圧、糖尿病、高コレステロールなどは遺伝的な影響があると考えられています。親族の中に「男性55歳未満、女性65歳未満で心筋梗塞や狭心症を発症した方がいる」場合には、遺伝的に発症リスクが高い可能性があるため(※3)、家族歴を知っておくことが大切です。

日常生活の中でできる心筋梗塞の予防策

日常生活の中でできる心筋梗塞の予防策

日常生活の中で心筋梗塞がおこりやすい場所のひとつが、入浴中です。外気温の変化は血圧や心拍数に影響するため、急激な温度変化は心筋梗塞発症のきっかけになることがあります。特に、心筋梗塞による突然死は冬場に多いことが明らかになっており、冬場の入浴時には脱衣所と浴室を暖かくしておき、風呂の温度は38~40℃と低めに設定するなど、血圧の急激な変動を防ぐよう工夫しましょう。

また、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの心筋梗塞のリスク因子そのものを予防・改善するには、不健康な生活習慣を見直すことが大切です。喫煙は止め、カロリーを控えた適切な食事と運動習慣で適正な体重を維持するようにしましょう。

心筋梗塞を予防するための生活習慣のヒント(※3)

  • 食べ過ぎに気を付け、適正な体重を維持する
  • 塩分は控えめにし、6g/日未満を目標にする
  • 脂身の多い肉や加工肉の摂取を減らす
  • n-3系多価不飽和脂肪酸(EPAやDHAなど)を多く含む魚の摂取を増やす
  • 卵黄や魚卵、レバーなどのコレステロールを多く含む食品の摂り過ぎに注意する
  • トランス脂肪酸を含む菓子類やマーガリンなどの摂取を控える
  • 未精製穀類(玄米、麦飯など)や野菜・果物など、食物繊維を多く含む食品を摂る
  • 果糖を含む(砂糖の多い)加工食品の摂取を減らす
  • 海藻や大豆・大豆製品、ナッツ類を摂る
  • アルコールは1日25g以下にする(ビールなら大瓶1本、日本酒なら1合強)
  • 禁煙する(加熱式タバコも控える)
  • 座っている時間を少なくする
  • 歩行やゆっくりしたジョギング、水中運動などの有酸素運動を1日30分以上、週3日以上行う

こうした生活習慣は、どれか一つに偏るのではなく、できることから少しずつ、バランスよく取り入れていくことが大切です。日々の積み重ねが、心筋梗塞の予防につながります。

一方で、様々な対策を講じても、心筋梗塞を完全に防ぐことはできません。約半数の人では心筋梗塞の前兆を経て発症するといわれており(※1)、前兆の症状を知っておくことは非常に重要です。心筋梗塞の前兆や発症した場合の対処法については、下記の関連コラムで詳しく解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください。

定期的な健康診断は、心筋梗塞を予防する第一歩

心筋梗塞のリスク因子のうち、改善可能なものを適切に治療・管理していけば、心筋梗塞の半数以上は発症を防ぐことができるといわれています(※3)。そのためには、まず定期的に健康診断を受け、高血圧や糖尿病、脂質異常症などのリスク因子があるかをしっかりチェックする必要があります。

これらのリスク因子となる生活習慣病がある場合は、かかりつけ医と相談しながら、治療を続けていくことが重要です。生活習慣病を治療する本当の目的は、心筋梗塞や脳卒中などの命にかかわる病気の発症を防ぐことです。生活習慣病は自覚症状に乏しいため、治療をしなくてもいいだろうと放置してしまいがちですが、治療の本当の目的を忘れてはいけません。

心筋梗塞のリスク因子を複数持っている場合、一度動脈硬化の進行度をチェックしておくこともおすすめです。当クリニックでは、超音波(エコー)検査や血圧脈波検査などの動脈硬化を調べることができる検査を実施しており、健康診断・人間ドックのオプションとして受診いただけます。

 

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森山 紀之

医療法人社団進興会 理事長

1973年千葉大学医学部卒。
元国立がん研究センター がん予防・検診研究センター センター長、東京ミッドタウンクリニック常務理事 兼 健診センター長を経て、現職。

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